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2021, 02

  1. 1月9日(土)ゆったり日和のラブソング コンサートを終えて

    2021/02/19

    緊急事態宣言が発令されて間もなくの3連休。
    この日は全国的にも大寒波に見舞われました。
    私の実家の富山では35年ぶりに豪雪が降り1m以上積もった雪が屋根から落ちてきて危険だったと聞かされました。
    35年前の豪雪といえば私はかすかに記憶があります。
    その日は実家の庭にたくさんの雪が積もりました。
    父と長男がスコップを使ってかまくらを作ってくれました。
    幼かった私は初めてのかまくらに大興奮だったと思います。
    中は意外と暖かかったことも覚えています。
    母が作ってくれたカレーライスをかまくらの中で食べたことが温かい記憶として蘇ってきます。

    そんな寒い時期に開催された「ゆったり日和のラブソング」という題名のコンサートでしたが、当初2020年5月9日に開催する予定でした。
    しかし緊急事態宣言が発令された影響で延期になってしまいました。
    延期日の1月9日の直前になってまたもや緊急事態宣言が発令されました。
    主催者と実行委員会で会議を重ね、感染対策を充分に行った上で開催する運びとなりました。
    検温、消毒、マスクの着用チェックをし、客席は1席ずつ間をとり、舞台と客席の間は充分あけるなどソーシャルディスタンスにも十分に配慮しました。
    舞台上にのる人数を制限し、1曲ずつ人と人が接触する際は消毒をするなど演奏者側も感染予防を徹底しました。

    コンサートの一番最初が私の出番でした。
    私はタキシードを久しぶりにまとい、イタリア古典歌曲のCaro mio ben(愛しいひと)をギター弾き語りで歌いました。

    通常はピアノ伴奏で歌われることの多い曲ですが、ギター伴奏にアレンジして、自分なりの解釈で演奏しました。
    私の持ち味はSotto voceだと思っています。
    クラシックを歌う時もボサノヴァを歌うようにナチュラルな声で歌うことを目指しています。
    クラシック正統派の歌い方ではなくなってしまいますが、イタリア古典歌曲の解釈としてはありかなと思っています。

    私の歌で和やかにコンサートが幕開けした後、フルートの綱川さんとヴァイオリンの穴澤さんのすばらしい演奏があり、再び私の出番となりました。
    今度はオペラの弾き語り。

    以前はずっとバリトンの声域で歌っていたので、テノールの声域となるとまた別の感覚で体の使い方が違ってくるので、思い通りにできなくて悩んだりもしました。
    練習を繰り返し、録音を聞きながら試行錯誤してなんとか高音の響きを見つけていきました。
    オペラ弾き語りになるとどうしても声とギターの音量のバランスをとるときに、
    ギターが小さく聞こえてしまうのが難しいところでしたが、ギターの一つ一つの音をたっぷりと弾くことで音量の差を少なくするように工夫しました。
    本番はお客様がいらっしゃることで音が吸収され、リハーサルの時よりもホールの響きが少なくなってしまうので、声がはやく減衰してしまう感覚に襲われて動揺しましたがギターに合わせてたっぷりと歌うと音楽の方に集中できる様になりました。

    私が初めてオペラを生で聞いたのは高校生の時。
    ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の東京公演で演目はプッチーニのオペラのトスカでした。
    指揮はジェームズ・レヴァイン氏、テノールはファビオ・アルミリアート氏だったと思います。
    まず驚いたのは舞台の照明でした。
    まるでフェルメールの絵画の様に照明が舞台の光と影を立体的に映し出していました。
    私は舞台に引き込まれていく感覚になりました。
    情熱的な歌とオーケストラの響きが調和し、視覚的にも音楽的にもドラマチックで私は大変衝撃を受けました。
    このオペラの中で歌われている曲「星は光りぬ」をこの度歌うことができたのは私にとって感慨深いものがあります。

    私のオペラ弾き語りのあとは岡田智子さんのカルメンの踊りと歌声で会場が華やかになりとても盛り上がりました。

    1部の最後はアメイジング グレイス。

    私の弾き語りにフルートの綱川さん、ヴァイオリンの穴澤さんが加わっての3人のアンサンブル。
    3人とも視覚障害なのでアイコンタクトはなく、あうんの呼吸で始まりました。

    音楽監督で指揮者の松井雅司氏に、「2番の歌詞はピアニッシモの響きを大切に歌うように」とご教授いただいたのでそれを意識して歌いました。
    1番はアカペラで2番はピアニッシモで優しく、3番はフォルテで歌いダイナミクスをつけました。
    フルートとヴァイオリンの掛け合いがすばらしくだんだんと曲が盛り上がっていく形になりました。
    歌いきって拍手をいただいたときは頭が真っ白でしたが、すぐ我に返って「ありがとうございます」という感謝の気持ちで笑顔が溢れてきました。

    2部は「天使にラブソングを」の合唱でした。
    コロナのことがなければ、舞台上で大人数の合唱の生演奏を予定していましたが、コロナ感染防止を考え、生演奏は少人数でソーシャルディスタンスをとり、大人数になる合唱は事前にパートごとに録音、撮影をしました。
    そして、それらを組み合わせて編集したものを上映するという形をとりました。
    私はその中で「OH HAPPY DAY」という曲のソロを歌いました。

    カーテンコールのあと最後に「ふるさと」を歌い、ゆったり日和のラブソングのコンサートが終了しました。

    このコンサートの名前の「ゆったり日和のラブソング」というタイトルは、東大和市のブランド・メッセージである「東京 ゆったり日和 東やまと」の一部を用い、2部の演目の「天使にラブソングを」と組み合わせたものです。
    東大和市は「共働き子育てしやすい街ランキング(日経DUAL)」で上位にある自治体です。
    多摩湖とその周辺の狭山丘陵の裾にある緑豊かな街。
    交通の便も割と良く、新宿からも40分くらいと便利でとても住みやすい街だと思います。
    「ゆったり日和」というキャッチコピーはとても素敵なのでいろんなところで使われるといいなと思います。

    今コロナの影響で合唱団の活動はとてもやりにくくなっています。
    逆にいえば合唱にかかわらず、今まで大勢で集まってイベントなどができていたことが貴重でかけがえのないものだったのだと改めて感じます。
    一日も早いコロナの収束を願っています。

    最後になりますが、このコンサートにかかわってくださり支援をしてくださった多くの方々に心より感謝申し上げます。